唐代伝奇の訳本

数年前から某大学で中国小説史の講義をしておりますが、唐代にさしかかると、伝奇を紹介することになります。

伝奇は志怪小説などよりも文章が長いものが多いので、プリント等で紹介するのにも限界があり、自ずといくつか紹介して「興味のある話が他にもあったら、あとは訳本でも読んでね」ということになります。

ところが、訳本の多くは「○○伝奇集」というようなタイトルがついていて、タイトルだけでは収録作品が判りません。そこで、図書館のサイトなどで検索してみると、収録作品が記されていることもあります。例えば(筆者が利用する都合上、宮城県立図書館へのリンクとなっております)、

唐代伝奇 (新書漢文大系)
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/1000082823/

唐代伝奇集 (1) (東洋文庫 (2))
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/5010036939/

唐代伝奇集 (2) (東洋文庫 (16))
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/5010036940/

ものがたり 唐代伝寄 (中公文庫)
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/1100098742/

枕中記・李娃伝・鶯鶯伝他(中国古典小説選5唐代Ⅱ)
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/1100098742

唐宋伝奇集〈上〉南柯の一夢 他11篇 (岩波文庫)
http://www.library.pref.miyagi.jp/wo/opc_srh/srh_detail/5010132503/

など。

 しかし図書館などでよく見かける本でも詳細が載っていないものもあります。

そこで、新釈漢文大系の『唐代伝奇』と、岩波文庫の『唐宋伝奇集』下(上は宮城県図書館に内容細目があります)の目次をメモしておきます。


内田泉之助, 乾一夫『唐代伝奇』(新釈漢文大系44、明治書院、1971年)

古鏡記(王度) / 補江総白猿伝 / 離魂記(陳玄佑) / 枕中記(沈既済) / 任氏伝(沈既済) / 柳氏伝(許尭佐) / 柳毅伝(李朝威) / 李章武伝(李景亮) / 人虎伝(李景亮) / 霍小玉伝(蒋防) / 南柯太守伝(李公佐) / 謝小娥伝(李公佐) / 李娃伝(白行簡) / 長恨伝(陳鴻) / 鶯鶯伝(元稹) / 周秦紀行(韋瓘) / 無双伝(薛調) / 杜子春伝(李復言) / 紅線伝(袁郊) / 崑崙奴(裴鉶) / 聶隱娘(裴鉶) / 虬髯客伝(杜光庭)

今村与志雄『唐宋伝奇集』下(岩波文庫赤38-2、岩波書店、1988年)
※表示の都合上、一部文字を改めてあります。

杜子春 (牛僧孺)
杵、燭台、水桶、そして釜 ― 元無有 (牛僧孺)
みかんの中の楽しさ ― 巴邛人 (牛僧孺)
冥界からもどった女 ― 斉饒州 (牛僧孺)
同宿の客 ― 辛公平上仙人 (李復言)
魚服記 ― 薛偉 (李復言)
赤い縄と月下の老人 ― 定婚店 (李復言)
則天武后の宝物 ― 蘇無名 (牛粛)
竜女の詩会 ― 許漢陽 (谷神子)
飛天夜叉 ― 薛淙 (谷神子)
白蛇の怪 ― (谷神子)
碁をうつ嫁と姑 ― 王積薪 (薛用弱)
玻璃の瓶子 ― 胡媚児 (薛魚思)
女将とろば ― 板橋三娘子 (薛魚思)
山の奥の実家 ― 申屠澄 (薛魚思)
蒼い鶴 ― 戸部令史妻 (戴孚)
巨獣 ― 安南猟者 (戴孚)
鄭四娘の話 ― 李黁 (戴孚)
嘉興の綱渡り ― 嘉興縄技 (皇甫氏)
都の儒士 ― 京都儒士 (皇甫氏)
腕だめし ― 僧侠 (段成式)
旁い俶とその弟 ― 新羅 (段成式)
葉限 ― 中国のシンデレラ (段成式)
形見の衣 ― 陳義郎 (温庭筠)
再会 ― 陽素 (孟棨)
崔護と若い娘 ― 崔護 (孟棨)
麵をとかす虫 ― 消麵虫 (張読)
李徴が虎に変身した話 ― 李徴 (張読)
崑崙人の奴隷 ― 崑崙奴 (裴鉶)
空を飛ぶ侠女 ― 聶隱娘 (裴鉶)
女道士魚玄機 ― 緑翹 (皇甫枚)
犬に吠えられた刺客 ― 李亀寿 (皇甫枚)
詩人の男伊達 ― 張祜 (馮翊子)
奇譚二則 ― 画工・番禺書生 (逸名)
つばめの国の冒険 ― 王榭 (逸名)
真珠 ― 狄氏 (廉布)
日銭貸しの娘 ― 大桶張氏 (廉布)
居酒屋の女 ― 呉小員外 (洪邁)
壁に書かれた字 ― 太原意娘 (洪邁)
怪盗我来也 ― 我来也 (沈俶)

※ 2016年9月4日、リンク切れなどの改正