貫華齋

西遊記・金聖歎・中国古典小説

各挿話の採用数

 前回は、西遊記が大きく三つの部分に分けられること、そしてそれぞれの部分に様々な挿話があることをお話ししました。今回は、それぞれの挿話が、どのくらいの数、児童書西遊記に採用されているのか? そして、それを知るにはどうすればいいのか? ということについてお話しいたします。

挿話採用数

 各挿話の採用数を知りたい場合、実はあるサイトを見れば一目瞭然です。はっきり言って宣伝なのですが(笑。まあ、宣伝しても何か利益につながるわけでもないのでご容赦ください)、それは私が公開している別のサイト 「 子どものための西遊記 」 です。本来蔵書管理用のサイトである 「 メディアマーカー 」 の機能を利用させていただいて、日本で刊行された児童書西遊記のデータベースを作成したものです。

 右側に「タグ」と書かれた部分があり(当該サイト、もしくは本項右の画像参照)、その下に「A01 花果山水簾洞の王になる、A02 仙術を学ぶ、A03 混世魔王を倒す...」と書かれているのが各挿話の名称(井上がひとまず付けたものです)で、その左側にある数字が、調査済み書籍の中でその挿話を採用している書籍の数です。

 直接サイトをご覧頂くと「タグなし」の書籍がかなりの数存在しますが、これは未調査、もしくは未記入ということなので、今後調査が進行すれば各挿話の採用数は変化します。また、そもそもデータベースに掲載されていない本もまだまだ存在するかもしれません。しかし、現時点で300冊以上は調査が完了しており、おおよその傾向に大きな変化は起きないのではないかと思われます。(統計学上、どのくらいのサンプル数が必要なんでしょうね?統計学に詳しい方、よろしければご教示ください。)

 さて、ともかく現時点でのデータを見てみますと、次のようなことが判ります。

・ A部分(孫悟空が五行山に閉じ込められるまでの部分)は全体的に採用数が多い。その中では「A05 冥界を荒らす」が比較的採用されていない。

・ B部分(西天取経にいくいきさつを述べた部分)は全体的に採用数が少ないが、「B01 観音、取経者の弟子を探す」「B05 玄奘、取経者となる」は、比較的よく採用されている。西天取経に直結する挿話だからでしょう。

上に挙げたA・B部分の各挿話の内容については、前々回(A部分)および前回(B部分)、簡単に触れましたので、そちらをご覧ください。

・ C部分(西天取経)の部分では、孫悟空(C02)・龍馬(C03)・猪八戒(C05)・沙悟浄(C07)が玄奘に弟子入りする話と、お経をもらう場面を含む挿話(C38)、お経を唐に伝える挿話(C40)がよく採用されている。 これらの話は、「三蔵一行」というパーティーを形成する話と、取経という目的を果たす話であり、従って西天取経の骨格を成す挿話(仮に「コア・ストーリー」とでも名付けておきます)ですから、採用数が多いのはある意味当然と言えます。

 C部分で、コア・ストーリー以外の挿話は、ほとんどが所謂「妖怪退治」の話になります。C部分は、前述のとおり、「玄奘一行が災難に遭う→解決する」というお話の繰り返しで構成されており、コア・ストーリー以外の挿話は有っても無くても全体構成に影響しませんので、「妖怪退治」にあたる挿話は、取捨選択が比較的自由であるといえます。言い換えれば「妖怪退治」の話で採用されているものは、編者が本当に面白いと思った話なのだということができます。

そのベスト5を挙げると以下の通りです。

1位 C11 金角・銀角
※ まあ、ダントツと言っていいでしょう。

2位 C21 火焔山の牛魔王
※ 1位には差をつけられていますが、3位以降とも少し差があります。

3位 C09 人参果
※ ここから5位までは僅差です。

4位 C10 白骨精と黄袍怪

5位 C16 通天河

 それ以降の順位に該当する挿話につきましては、右の画像か、直接 「 子どものための西遊記 」 をご覧下さい。

 さて、ここで挙げた5つが妖怪退治の話の中では児童書西遊記によく採用されている話ということになりますが、皆さんは全てご存じでしょうか? 次回はこれら5つの挿話のあらすじを簡単にご紹介しておきたいと思います。

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