西遊記(戦時体制版)

弓館芳夫
1939-08-10
第一書房

A01 美猴王 A02 仙術を学ぶ A03 混世魔王を倒す A04 如意金箍棒 A05 冥界 A06 弼馬温 A07 斉天大聖 A08 蟠桃会 A09 天兵と戦う A10 釈迦如来との勝負 B01 取経者の弟子 B05 玄奘、取経者となる C01 双叉嶺 C02 孫悟空の弟子入り C03 龍馬の弟子入り C04 観音院と黒風大王 C05 猪八戒の弟子入り C06 黄風洞の黄風大王 C07 沙悟浄の弟子入り C08 四聖、禅心を試す C09 五荘観の人参果 C10 白骨精と黄袍怪 C11 金角・銀角 C12 宝林寺と烏鶏国 C13 紅孩児 C14 黒水河の龍 C15 車遅国の三道士 C16 通天河の霊感大王 C17 独角兕大王 C18 子母河の水 C19 西梁女国と琵琶洞の蝎精 C20 にせ悟空 C21 火焔山の牛魔王 C22 祭賽国と九頭虫 C23 荊棘嶺の樹木精 C24 小雷音寺の黄眉童児 C25 稀柿衕のうわばみ C26 朱紫国と賽太歳 C27 盤糸洞と黄花観 C28 獅駝洞の三魔王 C29 比丘国 C30 無底洞の地湧夫人 C31 滅法国 C32 連環洞の南山大王 C33 鳳仙郡に雨を降らす C34 玉華県・黄獅・九霊元聖 C35 青龍山の三大王 C36 天竺国のにせ公主 C37 地霊県の寇員外 C38 凌雲渡・雷音寺・無字経 C39 再び通天河 C40 唐に真経を伝え、神仏となる 沙悟浄【F】大入道

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改造社「世界大衆文学全集」を再刊したもの。内容は同じだが、文章には修正が加えられた箇所も見られる。昭和14年の「はしがき」に「篇中の引例、比喩など執筆当時のままに差置いたものもあるが、今の読者に縁遠いと思はれるものには、若干加筆修正をした処もあります」と書かれている。
筒井康隆『幾たびもDiARY』の八月二十二日に「懐かしやなつかしや。弓館芳夫『西遊記』(第一書房)を古書市で当てた横田順爾が送ってきてくれた。小学生の頃何度も読み返した本であり、文章のギャグのほとんどは今でも記憶している。二千五百円であったとのこと。儲けものであった。この本、もし吉本屋で見つけたかたは絶対にお買いなさいね。損はしません。スマートなギャグはまことに秀逸。大長篇落語のつもりで読めます」、二十三日に「『西遊記』を読んでしまった。結局のところこれは庶民への仏教教育の意図を持っているものであったのだということを諒解。観世音菩薩が親戚のお姐ちゃんのように思えてくるから不思議である」と感想が書かれているのは、この本のことであると思われる。
C33「間もなくとおりかかつた鳳仙郡では、三年間旱魃で苦しんでいたのを、悟空の法力で雨を降らせ」とのみ記述。