ebook版『水滸伝』(李志清・夏秋のぞみ)

李志清・夏秋のぞみのコミック『水滸伝』がeBookJapanででたようです。
・ eBookJapan 『水滸伝』 全16巻 [立ち読み版アリ!]
一冊¥315で、「安っ!」と思ったら、ebook2冊で文庫版一冊分の内容でしたか。
だったら同じぐらいですね。
↓MF文庫版
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※ 2016.09.06 Amazonリンク訂正。


中国の五大小説 上

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 井波律子先生の『 中国の五大小説 上 』(岩波新書、2008.04)を読みました。

これは、その名のとおり、井波先生による中国の五大小説(四大奇書+紅楼夢)のガイド。
上巻は 『 三国志演義 』 と 『 西遊記 』 を扱っています(ネット目録では、両書の関連書籍の項に入れてあります)。

カバーの見返し部分の宣伝文句に、

一度は通して読んでみたかったあの物語を、練達の案内人と共に楽しむ。

とあるように、『三国志演義』や『西遊記』のストーリーを概説しつつ、ガイドしていく形式になっています。なので、それぞれの作品について熟知している人よりも、まだ読んでいない人や、以前読んだけど細かいところは忘れた、という人に向いているかもしれません。

ガイドの性格はどのようなものかといいますと、ストーリーや場面に関連する知識を述べる部分もあるのですが、それ以上に、作品のどこに面白さがあるのかを述べることに力点が置かれているように思います。例えば、 『 西遊記 』 は 「 一話完結、繰り返し(p.176)」で物語が構成されています。これは見方によっては単調な構成と見ることもできそうですが、著者はこれを面白さの原因と見ます。

こうしたパターンの繰り返しによって話をすすめていくというのは、読み手を楽しませるための、語りの基本的なテクニックです。たとえば、日本の昔話「わらしべ長者」は、ワラを一本もって歩く一人の男が道の途中で誰かに会い、持ち物を交換してもらうというパターンの繰り返しでできています。これが予定調和の物語だからこそ、読み手は最終的には安堵感を抱きながらも、「次はどんな人に会うのか」「次は何をもらえるのか」「いったい最後はどうなるのだろう」と、ワクワクとその展開を楽しめるのです。『西遊記』の語りの面白さもまさにこういうところにあります。(p.177)

このように作品の「面白さ」がどこにあるのかを指摘しながら、ストーリーや名場面を紹介していくというのが本書の基本的姿勢だと思われます。

なお、最後の部分に、中国小説全体の特徴について述べた箇所があります。
具体的には

・ 登場人物の性格が成長しない
・ 登場人物の関係性を描くことが重視されている
・ 登場人物の内面はあまり描かれず、外在的要素(役割・行動形態・
  容姿・得意技など)を中心とした描写がされる

というような点が指摘されており、内容的にはこれまでにも言われていたことではあるのですが、解りやすく、手際よく説明されている点はさすがだと感じました。

※ 2016.09.06 Amazonリンク訂正。


水滸伝関連書籍

たまたまコンビニで見かけたのですが、『 水滸伝 』 に関する本が、新たに出ているようなのでメモしておきます。

まずはコミック。

作画:李 志清/原作:夏秋 望 『 水滸伝 』 (メディアファクトリー)
・ 解き放たれた百八星
・ 貶められし林冲
・ 武松の虎退治

これはMF文庫版と同内容でしょうか。文庫は第4巻が武松の話なので、巻数の配分が異なっているのかもしれません。

それから解説書。( リンク先の出版社のサイトは、トップページ によると 「 18歳未満の方はご覧になれません 」 だそうです。18歳未満の方は Amazon 等、他のサイトで探してみるといいかもしれません。)

・ 『 真説・水滸伝 最強の豪傑は誰だ!?』 (茜新社)

内容は梁山泊の好漢達についての解説のようです。


コミック版金瓶梅

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 当サイトでもいろんな意味で応援中の、わたなべまさこ 『 金瓶梅 』 に新刊が出ました(12巻)。奥付によると11巻の刊行が、2003年12月となっているので、3年半ぶりということになります。

と、思っていたら、今度は eBookJapan から、竹崎真美、まんがグリム童話 『 金瓶梅 』 の電子書籍版刊行のお知らせが。『 金瓶梅 』 なのに何故 「まんがグリム童話」? と、不思議に思ったのですが、そういう名前の雑誌があって、そこに掲載されていた ( いる? ) ということのようです。

それにしても、タイミングが重なったので、コミック版 『 金瓶梅 』 流行の兆しか?と、一瞬思ってしまったのですが、それはないか。

なお、電子書籍版のコミックには 、『 がきデカ 』の作者、山上たつひこの 『 金瓶梅 』 もあります。(追記:なくなったようです)

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※ 2016.09.06 Amazonリンク訂正。その他のリンク(リンク切れ)を削除。


岩波文庫新版『西遊記』の訳

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現在、岩波文庫の『西遊記』新版が刊行中です(現在、第6巻まで刊行。今月17日には7・8巻が刊行されます)。

第1巻から第3巻までは旧版では小野忍先生が訳されていましたが、新版では旧版の4巻以降と同じく中野美代子先生の訳になっております。つまり第1巻から第3巻までは「新訳」なのですが、4巻以降は旧版でも中野先生の訳でした。岩波のサイトでは4巻以降を「改版」としております。
それでは具体的にどの程度変更があるのでしょうか。
旧版が図書館にあったので、パラパラとめくりつつ比較してみたところ、基本的にはそのままの文章で、1ページにつき数カ所ぐらいの頻度で気になった言い回し(かな?)に手を入れてあるという感じです。二カ所ほど抜き出してみると次のような具合です。

[旧]p.8-p.9
「おぬし、なにをきょろきょろしてるんだ」
「すきまがあいているかどうか見ているんだよ。逃げやすいようにな
「どこへ逃げるつもりだ。おぬしなんか三日も前に逃げたって、この孫さまはな、追いついてとっつかまえることができるんだぞ。さあ、とっととしゃべろ・・・
[新]p.9
「おぬし、なにをきょろきょろしてるんだ
逃げるすきまがあいているかどうか見ているんだよ」
「どこへ逃げるつもりだおぬしなんか三日もまえに逃げたって、この孫さまはな、追いついてとっつかまえることができるんだぞ。さあ、とっととしゃべらんかい・・・

[旧]p.9-p.10
ところで師匠は洞の中にいなさったんだが、そこには、うまいぐあいに救いの神もいてね、それが宝象国の国王の三番目のお姫さまなんだが、これまたその妖怪につかまっていたんだ。そのお姫さまは、国王あての書状をしたため、師匠に託したあげく、うまいことを言って師匠を逃してくれた。そういうわけで宝象国に着いたら姫からの書状を手渡したんだが、国王が・・・
[新]p.10-p.11
 師匠は洞の中にいなさったんだが、そこには、うまいぐあいに救いの神もいてね、それが宝象国の国王の三番目のお姫さまときた。これまたその妖怪につかまっていたんだ。そのお姫さまは、国王あての書状をしたため、師匠に託したあげく、うまいことを言って師匠を逃してくれた。そういうわけで宝象国に着いたら姫からの書状を手渡した。国王が・・・

また、第三十一回(第4巻最初の回)冒頭の韻文はそれぞれ次のようになっています。

[旧]p.5                [新]p.5
義理の兄弟 結んだものの    兄弟の契りは結んだ
本性だけはもとのまま       本性だけはのまま
金と木(1)とのコンビにて      金と木とで証果をめざし
めでたく成さん悟りの果
心猿木母(2)気を合わせ      心猿木母(1)は心を一にす
ともに登るは極楽世界       ともに登るは極楽世界
ともに入るは大乗法門       ともに入るは大乗法門
経こそは修行のまとめ       経こそは修行のまとめ
仏の魂こもったものぞ        仏の魂こもったものぞ
兄弟なれば三世の契り       兄弟なれば三世の契り
妖魔とても五行の支配       妖魔とても五行の支配
迷界への道 断ち切って      六門への道(2)を断ち切って
いざ赴かん 西天         さて赴かん西天大雷音寺
()の数字は註

なお、旧版には中野先生の「訳者後記」があり、小野先生のそれまでの訳と方針を改めた点(1.著者を呉承恩としないこと 2.回目を訓読ではなく意訳にすること)などについて書かれていますが、これは新版の4巻にはありません(上記2点などは1巻の「訳者まえがき」で触れられています)。
註は全体的に新版の方がやや少な目になっています。1~3巻に入れて4巻では省いたものもあるのかもしれません。あとは漢字をひらがなにしてあるところも目につきます。
最初の方をパラパラと見たところではだいたいこんな感じです。後ろの方はまた様子が違うかもしれませんが、ひとまずご参考まで。

※ 2016.09.05 Amazonリンク訂正。なお当時は刊行されている途中でしたが、現在では全巻刊行済みです。