西遊記(戦時体制版)

編訳者
弓館芳夫
刊行年月
出版社
第一書房
沙悟浄
メモ:

改造社「世界大衆文学全集」(1931年)を再刊したもの。内容は同じだが、文章には修正が加えられた箇所も見られる。昭和14年の「はしがき」に「篇中の引例、比喩など執筆当時のままに差置いたものもあるが、今の読者に縁遠いと思はれるものには、若干加筆修正をした処もあります」と書かれている。

筒井康隆『幾たびもDiARY』の八月二十二日に「懐かしやなつかしや。弓館芳夫『西遊記』(第一書房)を古書市で当てた横田順爾が送ってきてくれた。小学生の頃何度も読み返した本であり、文章のギャグのほとんどは今でも記憶している。二千五百円であったとのこと。儲けものであった。この本、もし吉本屋で見つけたかたは絶対にお買いなさいね。損はしません。スマートなギャグはまことに秀逸。大長篇落語のつもりで読めます」、二十三日に「『西遊記』を読んでしまった。結局のところこれは庶民への仏教教育の意図を持っているものであったのだということを諒解。観世音菩薩が親戚のお姐ちゃんのように思えてくるから不思議である」と感想が書かれているのは、この本のことであると思われる。

  • C33「間もなくとおりかかつた鳳仙郡では、三年間旱魃で苦しんでいたのを、悟空の法力で雨を降らせ」と記述するだけ。