貫華日記Ⅱ

伊藤貴麿関連資料(14)「董劎客の話」

今回も雑誌『新小説』30-1(大正13年)に掲載された「劉孝廉の話」から「董劎客の話」。武勇を誇る男が、異人(異才の持ち主)から教えを受け損なう話です。『聊斎志異』巻九の「佟客」が原作です。

劉孝廉の話     伊藤貴麿

董劎客の話

 董生は徐州の人、撃劍を好んで、常に慷慨自負して居た。或る時途に一客に遇って、馬上共に行き客と語つて、談甚だ豪邁。其の姓字を問ふに、遼陽と佟といふ者である事を語った。又何所に往くのかと云ふと、
「吾輩は家を出てから二十年になる。今他國から歸る所だ。」と客は答へた。
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