2019年を振り返る

7年目の「振り返る」です。
今年は研究・教育・読書、まとめて一本で。
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教育面から書きますと、授業は週14コマ。中国語以外の授業が無くなってしまったのが残念でしたが、その分少し余裕をもって準備等ができているように思います。

研究では『中国児童文学』第26号に「伊藤貴麿の「中国もの」児童向け読み物とその題材 ― 附 伊藤貴麿著作目録」を発表しました。タイトルで「附」とした目録が、実質的にはメインといえる原稿で、論文ではないため業績としてはそれほど重要なものにはならないかもしれませんが、調査に時間と手間がかかっていることもあり、自分としてはこれが出せたことは、割と大きな区切りとなりました。また、伊藤貴麿については来年早々に共著論文が出る予定です(校正済み)。

このサイト関連では、「子どものための西遊記」閉鎖に伴い、新サイト「日本の児童書西遊記」を開始したことが大きな出来事でしたが、そう考えると、今年は「目録作成の年」だったと言えそうです。

次に読書編です。今年も(昨年よりはマシですが)あまり本を読めておらず、(文庫版『1Q84』を6冊と数えても)読了したのは40冊程度でした(ここでは文庫・新書やその電子書籍等、手軽に入手できるもので、最初から最後まで通して読んだもののの数です)。

その中で「これは凄い」と思ったのは、村田沙耶香『コンビニ人間』でした。コンビニの仕事のようなマニュアルが無いと「普通の」生き方や生活のしかたやがわからず、人間関係においては、空気を読めず、それを自覚はするものの、空気を読む必要性を理解していない主人公が、社会・世間と向き合うとどうなるかという思考実験のような面をもつ小説ですが、それがよく考えられ、よく書かれていると思いました。

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その他では、辻村深月『島はぼくらと』などが良かったです。

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小説以外では、安田峰俊『さいはての中国』が面白かったです。来年は同じ作者の他のものも、いろいろ読んでみようと思います。

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また、箱崎みどり『愛と欲望の三国志』も、日本で読まれた三国志物語を幅広く押さえていて良かったです。『西遊記』も『三国志』物語と同じような受容のされ方をする場合が多いので、『西遊記』の受容史を考える際にも、これを照らし合わせながら確認してみると、自分がまだ見落としているところが見つかるかもしれないと思いました。

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なお、この本を読む前に、この本には「西遊記とは違って、三国志が戦時中にブームを呼び起こしたのは何故か」が書かれているという評価をネットで見てしまい、「筆者は戦時中の西遊記ブームを知らないのか?」という疑念を持ったまま読み始めたのですが、そんな事は書かれていなくて安心しました(中国理解における『三国志』の優位な点については、少し書かれています)。ネットの情報に振り回されるのは良くないですね。

以上、ざっくりと2019年を振り返ってみました。
来年もよろしくお願いいたします。


2018年を振り返る【読書編】

今年はとにかく本の読めない年で、おそらく20冊程度しか読んでいないと思われます。
その中で、今年の読書メモを調べてみると、「良かった」「面白かった」と書いてあるものが以下の3点などでした。

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そして「泣けた」と書いてあるものが、『空飛ぶ広報室』などでした。「知ってた」と言われそうなものばかりですね。

小説以外では、今年、久しぶりに中国古典小説研究会に出るにあたって、未読だった『中国古典小説研究の未来』を読んでみたのですが、自分が参加する以前の古典小説研究会についての話が興味深かった上に、孫遜氏の「近三十年の中国古典小説研究における視野の広がりについて」のように、中国における古典小説研究の流れを日本語でまとめた文章が、とても勉強になりました。

コミックは、昨年の『弱虫ペダル』のように、次男と一緒に読みはじめたものが多く、その中では、この2つが面白かったです。世間の評価も高いやつですね。

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一人で読んだもので、今年新たに読んだものの中で良かったのは、以下の2点でしょうか。

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来年はもっといろいろ読めるといいなと思います。


2018年を振り返る【研究・教育編】

「振り返る」シリーズ【研究・教育編】6回目です。
(これまでの記事:2013年 / 2014年 / 2015年 / 2016年 / 2017年

教育面ではあまり例年と変化無く、粛々と授業をこなした感じです。

研究面では、久しぶりに中国社会文化学会と中国古典小説研究会に出席し、ご無沙汰していた方々や、お名前だけ存じ上げていた方々にお目にかかる機会ができました。日本中国学会には昨年も出席しましたが、今年は東京開催だったせいか、やはり懐かしい方々にお目にかかることができました。また、ここのところ翻訳研究の方面にばかり目を向けていたので、久しぶりに本流の中国文学研究の発表を聴いて、その進歩と面白さに触れられたのも収穫でした。

執筆したものとしては、『赤い鳥事典』の「伊藤貴麿」の項目があります。おそらく、「西遊記翻訳史における伊藤貴麿の位置」(国際文化研究21、2015年)があったためだと思いますが、思いがけない依頼でした。伊藤貴麿に関しては、本サイトでも関連資料として翻訳をいくつか掲載しましたし、2019年には数本の原稿を書く予定もあります。

最後に本サイトについてですが、「台湾の児童書西遊記」を同じサーバー内に別サイトとして立ち上げました。その一方で、メディアマーカーが1/20にサービスを中止することが発表されました。「子どものための西遊記」はこのサービスを利用させていただいていますので、2019年はこのデータの引っ越しをはじめ、データの整理をいろいろとしていかなくてはならない年になりそうです。

引き続き、よろしくお願いいたします。


2017年を振り返る【研究・教育編】

「振り返る」シリーズ【研究・教育編】、5回目になりました。
(これまでの記事:2013年 / 2014年 / 2015年 / 2016年

さて、2017年は研究面では、これまでに書いた原稿がいろいろな形になった一年でした。

まず論文は、「近現代日本の児童書における西遊記受容-「河童の沙悟浄」から見た-」(『中国児童文学』第24号、2016.12.25、pp.29-51)。実際に刊行されたのは今年に入ってからです。

そして、翻訳。浄慧法師の『中国仏教と生活禅』(山喜房佛書林、2017.02.23)が刊行されました。私は第3章と第4章の1~4を担当しました。
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それ以外に私の文章が掲載されたものとしては、『中国文化事典』(丸善出版、2017.04)があります。私が書いたのは「金聖歎の文芸批評」の項目です。
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上記の原稿を書いたのはほとんど昨年以前だったと思いますので、今年は比較的楽でした。ただ、今年楽した分、来年はちょっと大変です。一応某事典の項目を書いた原稿を出してありますので、それは来年形になると思いますが、肝心の西遊記受容研究は、口頭発表した内容が、論文が執筆できる段階まで今年中に進まなかったので、来年には投稿までいけるようにしなければなりません。方向性は決まっていますので、時間や予算と相談しながら着実に進めたいと思います。

本サイトでは、「僕たちが読んだ西遊記」に「キャラクターの変遷 ―― 日本で生まれた「河童の沙悟浄」を追う」を掲載できたのは良かったのですが、去年の「振り返る」で宣言していた「作家でたどる児童書西遊記」部分の開始は果たせなかったので、来年こそ開始したいと思います。

教育面では昨年から担当させていただいる中国小説史の授業のテキスト(配布プリント)を大幅改訂できたのが収穫でした。もう1、2年、授業をしながら修正を加え、書籍の形にできればいいなと考えています。

皆様にとっても来年が良い一年となりますように。


2017年を振り返る【読書編】

 今年は活字の本をあまり読んでおらず、記録に残っているのは57冊のみでした。

 小説の中で良かったのは、恩田陸『蜜蜂と遠雷』、住野よる『君の膵臓をたべたい (双葉文庫)』あたりでしょうか。ベタですが。

 論説(新書)では、斎藤美奈子『文庫解説ワンダーランド (岩波新書)』、佐々木敦『ニッポンの文学 (講談社現代新書)』、大野茂『サンデーとマガジン~創刊と死闘の15年~ (光文社新書)』、島内景二『中島敦「山月記伝説」の真実 (文春新書)』など。本の本ばっかりやん。

 マンガ部門では、『響~小説家になる方法~』。衝撃度が半端なかったです。ebookjapanで電子化されていないので、まだ第8巻を読んでいないのですが、今後どうなるのでしょうか。
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 マンガ(ギャグ)部門は『セトウツミ』を推したかったのですが、最終巻でギャグマンガではなくなってしまいました。どうしよう。でもまあ、それまでの巻が笑えたのは間違いないので(とくに2巻のゴリラのやつ)、そのままにします。
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 完結したと言えば、去年取り上げた『BLUE GIANT』も完結しましたが、凄かった。続編『BLUE GIANT SUPREME』も好調なようです。『図書館の主』も完結しましたね。
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 次男と親子共々はまったのは、いまさらながら『弱虫ペダル』。現在、主人公2年生時のインターハイが始まったところまで読みました。これも続きが楽しみ。
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 以上、今年読んで良かったと思った本でした。来年も、楽しくいろいろ読める一年になるといいなと思います。